途中だけど、アップしとく。庄司薫の「赤頭巾ちゃん、気を付けて」

途中だけど、アップしとく。庄司薫の「赤頭巾ちゃん、気を付けて」を読んだからアップしとく。後で加筆修正予定。

 

 

しばらくぶりに会った友達と、一体何について話したら良いのかわからなくなってしまう時がある。

テレビや芸人の話でみんなが盛り上がっているんだけど、その話がくだらなく思えて、全然面白いと思えなかったり、相手に対してそんな風に思っている事が伝わってしまうんじゃないかという気がして、余計に何を言ったら良いのかわからなくなってしまう。そんな時、なんとも言えない孤独な気持ちになったりする。

私が本を読んで感じることは、大抵の場合その時の自分の状態を反映していて、今回、庄司薫の「赤頭巾ちゃんきをつけて」を読んだ時、下に記した文章が今の私の答えになっていた。

 

”たとえば知性というものは、すごく自由でしなやかで、どこまでもどこまでものびやかに豊かに広がっていくもので、そしてとんだりはねたりふざけたり突進したり立ち止まったり、でも結局はなにか大きな大きなやさしさみたいなもの、そしてそのやさしさを支える限りない強さみたいなものを目指していくものじゃないか、といったことを漠然と感じたり考えたりしていたのだけれど、(中略)ぼくのその考え方が正しいのだということを、なんていうかそれこそ目の前が明るくなるような思いで感じ取ったのだ。そして、それと同時に僕がしみじみと感じたのは、知性というものは、ただ自分だけではなく他の人たちをも自由にのびやかに豊かにするものだというような事だった。”

”ぼくは海のような男になろう、あの大きな大きなそしてやさしい海のような男に。そのなかでは、この由美のやつがもうなにも気を使ったり心配したり嵐を恐れたりなんかしないで、無邪気なお魚みたいに楽しく泳いだりはしゃいだり暴れたりできるような、そんな大きくて深くて優しい海のような男になろう、たくましくて静かな大きな木の”

 

 

 

 

人と人のつながりの不確かさを再認識する 川上弘美の「おめでとう」を読んだ

1週間ほど前、彼氏と喧嘩をした。

理由も忘れてしまうような、しょうもない理由での喧嘩。

それがきっかけで、一緒にいるのにお互いどこかもやもやして、

2人の時間を楽しみきれないまま1週間が過ぎた。

 

昔から本を読むと、自分が言葉にできていなかった自分自身の気持ちに気が付くことが多い。言葉にできないから、それが一体何なのか自分でも理解できなくて、考えるのもめんどくさいから放っておいてしまう自分の中の何か。

そんな時本を読むと、自分の心を表現してくれている文章に出会う事がある。

恋愛にもやもやしたので、久々に恋愛小説でも読んでみるかと、誰かのブログで紹介されていた川上弘美さんの短編集「おめでとう」を読んだ。

短編それぞれが、とある2人の他愛もない会話や日常を切り取った作品。

どの短編でも、出てくるのはほとんど2人の世界だけ。

2人がそれぞれ生きているであろう外の世界についてはほとんど説明せず、2人の会話や行為が描かれていく。そしてその些細な会話の一つ一つに愛情と寂しさが詰まっていて、2人の関係の不確実さを感じさせる。

忘れてたけど、お互いどんどん変わっていってしまうんだ。

それぞれにとって良い変化でも、2人を結びつけていた繊細な世界は、そのバランスを失ってしまうかもしれない。

そんな当たり前の事にはたと気付いて、こうして一緒にいられる時間も、実は僅かかもしれないと、そう思ったら、今こうして一緒にいられる事が、すごくありがたい事に感じられた。

気持ちのもやもやなんかどーでもいいや。目の前にあるこの関係を大切にしよう。

そう思わせてくれた小説でした。 

映画「ソニータ」監督自身の決断も含めたドキュメンタリー 感想(ネタバレあり)

渋谷のアップリンクで上映中の「ソニータ」を観てきました。

http://unitedpeople.jp/sonita/wp-content/uploads/2015/02/SONITA_main-1.jpg

 あらすじ

タリバンから逃れるため、アフガニスタンを離れ、不法移民としてイランで暮らすソニータ

移民の子供たちを支援する施設に通い、過去のトラウマと闘いながらラッパーになる事を夢見るソニータ。そんな彼女のもとへ、ある日アフガニスタンから母が訪ねてくる。ソニータの家族は、アフガニスタンの慣習通り、お金と引き換えにソニータを見ず知らずの人と結婚させようとしていた。。

監督をも巻き込んで、ソニータ人生が変わっていく。。

 

感想

撮影の途中、自分が結婚させられると知ったソニータは、監督に助けを求めます。

その時監督はソニータに対して”これは事実を映す作品、だから私があなたの人生を変えてはいけない”と答えます。しかし映画の後半、なんとかソニータを助ける為、監督自身も様々な決断をするなかでソニータの人生も大きく変わっていきます。監督自身、インタビューで↓のように言っています。

「本作で初めて誰かの人生を変える経験をしたのですが、私自身も変わりました。こんなに長期に誰かの人生をサポートすることはなかったので、子を授かった気持ちでした。また、夢の力の凄さを知ることになりました。ソニータの夢は最初、非現実的で不可能と思えました。しかし、彼女には夢を見る権利があるのです。この事は、私の人生に対する態度を変えました」ロクサレ・ガエム・マガミ監督)

   http://www.webdice.jp/dice/detail/5495/

 

この映画は、そうした監督自身の葛藤や選択も含め、事実を映したドキュメンタリーでした。

映画の最初、彼女がラッパーになりたいという夢は非現実的でしたが、自身の才能を信じて突き進むソニータと、彼女を助けようとする人々とが繋がって、彼女の人生は変わっていきます。

一人の少女が人生を切り開いていく姿を目撃する、そんな作品でした。

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だけど彼女はたまたま運が良かっただけ。彼女の友達が金目当てに結婚させられるって話してる時のあの悲しそうな顔が印象的で忘れられません。。現在ソニータはこうした声にならない声を代弁する活動家として活躍しているようです。 

http://unitedpeople.jp/sonita/wp-content/uploads/2017/09/sonita_sub05.jpg

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